「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という孫子の兵法の言葉は「季節の養生」にも通じるものがあります。
彼を知り=「春」という季節の特徴と体や心に及ぼす影響を知り
己を知る=自分の体質、弱点、年齢による身体の変化、ストレスの受け止め方の癖などを知って「春」の養生を実践すれば快適に暮らすことができます。
【春の特徴その1】陽気の高まり。陽気とは温かさ+活動のエネルギーです。
木の芽時には自然界が芽吹くと同じように人間もアクセル全開で新生活に突入します。
活発な陽のエネルギーは熱を持ち、高揚して暴走ぎみになり頭に気が昇りやすく火照り、のぼせ、イライラ、動悸・不眠、めまいなどを起こすことがあります。
その身体の変化に心が追い付かず心と身体がバランスを崩しやすくなります。
冷静に慌てずゆったりと過ごしましょう。
冬の間の低燃費モードから一気に花開くモードになるのが春です。苦みのある山菜などで身体の余分な熱を冷ましましょう。
【春の特徴その2】
「肝」に負担がかかる季節です。
東洋医学では五臓と季節のつながりを重視します。
春は肝。西洋医学の肝臓の働きプラス血流の調整・自律神経やメンタルのバランスを整え、気血の巡りを良くするのも肝の働きです。
肝の働きが弱ると肩こり・めまい・憂鬱・眼の疲れ・やる気が出ないなどの症状が出ることがあります。
季節的な一過性の自律神経失調症状には、過度に心配せず慌てず漢方薬でケアする方法があります。
肝を元気にするには酢の物や柑橘類など適度な「酸味」が必要です。
人間は自然とともに生きています。
季節と体調と季節に合った食養生で春の不調の波が小さいうちにコントロールして楽しい春を過ごしましょう。