ときのや薬局 健康コラム

健康コラム

2021/01/07

「葛根湯」を正しく使うコツ 漢方で風邪の初期治療

風邪はウイルスや気温・湿度などの気候の影響など身体の周辺にある「邪」と呼ばれるものが身体に侵入しようとすることから始まります。

その影響は皮膚や関節などの体表から始まり、鼻、鼻の奥、喉、消化管や気管・肺へと進みます。

体表から深いところに向けて侵入しようとする「外邪」とこれをできるだけ浅いところで阻止して追い返そうとする身体の仕組み(正気)を「邪正闘争」と表現し、この様子が風邪の症状となります。

体表で闘うことで悪寒や頭痛、関節痛や筋肉痛、発熱に。鼻から侵入する外邪はくしゃみや鼻水で追い返し、気管に侵入されると咳や痰で追い払おうとします。

漢方薬を使って風邪の初期段階のうちにこの闘いを終息させるには、症状を抑え込まずに、身体が防衛手段としてやりたがっていることを邪魔せず、応援することが大切です。

睡眠が一番大事です。

外から中に入ろうとする邪気に反応して、身体では内側から外側に向かう流れが盛んになり、邪気を外に発散させようとします(これを解表と言います)。

これを応援する代表選手が「葛根湯」で、次の①~③の条件がそろったときだけ効果を発揮します。

①   寒さが入り込み、その風邪がまだ体の表面にある(頭痛・肩こり・筋肉痛)

②   入り込んだ邪気の種類は「寒」の邪気(顔色蒼白・ゾクゾク寒気・水っぽい鼻水で青い風邪と呼びます))

③   まだ病気と闘うエネルギーがある(汗をかいていない・倦怠感は無い)

初期治療に成功すると汗と一緒に邪気が抜けていくのを感じるでしょう。

逆に寒気をあまり感じず、喉が赤い・顔色が赤い・口の中が熱いなど炎症系の風(赤い風邪と呼びます)には銀翹解毒散を。

胃腸にくる風邪には勝湿顆粒を使います。

初期治療の「その瞬間」を逃したら風邪はどんどん変化していきます。

治療のタイミングを逃して進行した場合は別の病気を併発している可能性もありますので受診をしましょう。