「欧米型の食生活が理想だ」というのは錯覚です。
今の若い人たちがいくら鼻が高くなっても、足が長くなっても、腸の長さはやっぱり欧米の人より長いのです。胴長は日本人の宿命です。
さて日本は明治時代にドイツから栄養学を学んだのが始まりです。
ドイツという国は緯度でいうと北海道より少し北。
梅雨がなく寒い。だから植物が育ちにくい。パンでお腹いっぱいになれるほど小麦が育たなかったのです。
しかも小麦畑は連作が、しにくいそうです。
それに比べて水田は毎年同じ量のお米が採れる世界最高の食糧生産システムと言われています。
さあ、ドイツの人たちは穀物が少ないので冬を越すためにどうしたでしょう。
秋になると大量の豚の命をいただいて塩漬け保存し、冬にはそれを食べて過ごしてきた訳です。
そのうち賢い人が現れて腸に肉を詰めたソーセージやハムという保存しやすいものを作ったわけです。
その時保存よく、美味しくする魔法の粉、コショーを発見しました。
寒い地方ではコショウの防腐効果だけで充分物が腐らなかったのです。ですからドイツのソーセージやハムは、冬を越すために長年の苦労が生んだ、素晴らしい伝統の知恵なのです。
ただし、ドイツの人たちにとってはということです。
スイスの山奥の人たちの知恵はチーズに現れます。
豊かだったからではなく、食べ物が収穫できなかったからソーセージやチーズを食べてきたのです。
動物性食品をたくさん摂取してもびくともしない胃腸機能を持っている人たちが生き残ってきたのでしょう。
ところが日本は自然が豊かで米や穀物や植物が豊富に採れましたから植物性の食べ物が多くなったのです。
それに適して腸が長くなったといわれます。ご飯をたくさん食べてきたのは自然が豊かで米の収穫量が多かったからです。
一般的に、寒い土地の人ほど動物性の、暖かい土地の人ほど、植物性の食べ物や衣類が多くなります。
その土地でその季節に採れたものをその土地の調理法で食べるのが本当の豊かさではないでしょうか。